最近むせることが多くなった⽅へ

明⽯市朝霧町にある⻭医者、みのりの⻭科です。⾷事中にお茶や汁物を飲んでむせてしまう、何もしていないときに突然むせて咳き込むといった症状にお悩みの⽅はいらっしゃいませんか︖ 実はむせる事は、単なる年齢による変化と⾒過ごさないほうが良い場合もあります。放置すると、誤嚥性肺炎といった命に関わる病気につながることもあります。今回は、むせる原因や背景、そして⻭科医院でできる対策について、わかりやすく解説いたします。
【⽬次】
1 | 「むせる」とはどういうこと︖
1-1|むせとは何か
1-2|咳反射の役割
12 | なぜむせるようになるの?
2-1 | 加齢による機能低下
2-2 | ⼝腔環境の悪化も原因に
3 | ⻭科医院でできるむせ対策
3-1 | 嚥下機能の検査と評価
3-2 | ⼝腔リハビリで鍛える
3-3 | 誤嚥性肺炎を防ぐために
【まとめ】
1 | 「むせる」とはどういうこと︖
1-1|むせとは何か
むせるとは、⾷べ物や飲み物、あるいは唾液などが誤って気道に⼊りそうになった時、体がそれを排除しようとする反射的な動きのことです。⼀時的なものであれば問題はありませんが、頻繁に起こるようであれば、誤嚥や嚥下障害が疑われます。⽇常的にお茶でよくむせる、薬が飲み込みにくくなったといった変化を感じるようなら、注意が必要です。
1-2|咳反射の役割
咳反射とは、気道に異物が⼊りそうになった時、⾃動的に咳をしてそれを排出しようとする⾝体の防御反応です。健常な⽅であれば、気道に⽔分や⾷物が触れた時点で強い咳反射が起こり、異物は排除されます。しかし、⾼齢者や嚥下機能が低下した⽅では、この咳反射が弱くなっていることが多く、異物が気道に⼊り込んでも咳が出ず、肺へと侵⼊してしまうことがあります。これは不顕性誤嚥と呼ばれる状態で、知らない間に肺炎が起こるリスクの⾼い状態です。
2 | なぜむせるようになるの?
2-1 | 加齢による機能低下
年齢を重ねると、⼝の中や喉、⾆、喉頭周囲の筋⾁が徐々に衰えていきます。これにより、⾷べ物をしっかりと飲み込む⼒や、飲み込むまでのタイミングを正しくコントロールする⼒が低下してしまうのです。さらに、加齢とともに唾液の分泌量も減少し、⼝腔内が乾燥しやすくなります。唾液は飲み
込みを助ける重要な役割を持っているため、分泌量が少なくなると、誤嚥やむせのリスクがより⾼くなります。
2-2 | ⼝腔環境の悪化も原因に
3⻭の本数が少ない、⼊れ⻭が合わない、⾍⻭や⻭周病が進⾏しているといった⼝腔内のトラブルも、むせやすさに関係しています。しっかりと噛むことができなければ、⾷べ物が⼤きな塊のまま喉に運ばれ、スムーズな嚥下が難しくなるからです。
3 | ⻭科医院でできる「むせ対策」
3-1 | 嚥下機能の検査と評価
⻭科医院では嚥下機能のチェックを⾏っているところもあります。嚥下機能の低下を知らせる⼤切なサインがあれば、早めに相談しましょう。
3-2 | ⼝腔リハビリで鍛える
嚥下障害の進⾏を防ぐためには、⾆や頬、咽頭まわりの筋⾁を鍛える⼝腔リハビリが有効です。例えば、⾆を前後左右に動かす体操、頬を膨らませたりすぼめたりする練習、発⾳を利⽤した「パタカラ体操」など、簡単に⾃宅でできるリハビリもご紹介しています。
3-3 | 誤嚥性肺炎を防ぐために
⾼齢者がむせを放置したままにしておくと、最もリスクが⾼くなるのが誤嚥性肺炎です。これは、⼝の中の細菌が気道を通じて肺に⼊り、炎症を起こす疾患で、命に関わる重⼤な問題です。予防の基本は⼝の中を清潔に保つことです。定期的に⻭科医院でのクリーニングを受け、⻭⽯や細菌の除去を⾏うことで、誤嚥時のリスクを減らせます。また、正しいブラッシング指導や⼝腔ケア⽤品を選ぶことも⼤切です。
【まとめ】
むせるという現象は、年齢を重ねた全ての⽅に起こりうる変化でありながら、放っておくと誤嚥性肺炎や低栄養など深刻な問題につながることがあります。最近むせることが増えてきたと感じる⽅は、早めにご相談いただくことで、今後の健康を⼤きく左右する第⼀歩になるかもしれません。どうぞお気軽にご来院ください。